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市では、対流関係が市街地の外側だけで完結してしまわないように、冷たい空気を市街地の奥まで取り込みたい。 ために小河川のまわりにもなるべく多くの木を植え、街のなかに川の水と緑によるネットワークをつくっていきます。
もう一度、目を東京湾十三号埋立地に転じてみましょう。 にあたっているのです。
この埋立地に倉庫や大きなピル、住宅団地などをどんどん建ててしまうと、東京湾の空気が巨大な石焼芋地帯と対流を起こし、市街地のなかにまで冷たい空気が入ってこなくなる。 そうならないようにするための解決法は、埋立地に巨大な建物群は建てない。
なるべく全面を森にする。 この二つしかありません。
大きければ大きいほど、埋立地の森は都市の冷却装置として働く。 ヒートアイランドといわれる夏の都市環境を改善していく大きな力になるはずです。

あわせて、たとえば日本橋川の上にかぶさる高速道路を取り払って両岸を緑にし、日本橋川に沿って、東京湾の空気が宮城の森まで入ってこられるようにする。 皇居に向かってのびる八重洲通りは、佃島のあたりから街路樹をいっぱい植えて、それに沿って東京湾の空気が上がってくるようにする。
海風をさえぎる高い建物は低層にするか、風が通りぬけられるような構造につくりかえる。 埋立地から東京駅周辺まで、このような措置ができれば、ヒートアイランド現象はずいぶん緩和されるでしょう。
大都会になればなるほど、この二つがうまく組み合わさって機能しなげればなりませんために、どこに森をつくればいいのか、どこにコンクリートの建物をつくってはいけないのかなど、都市環境としての人工物と自然物の配置を考える。 特定の地域に限定されたミクロの視点だけではなく、都市づくりには、空を飛ぶ鳥の目の高さから見たマクロな視点がどうしても必要なのです。
提言B 名古屋を新しい首都にしよう。 新首都にはなにが必要か五年前、首都移転問題はまだ机上の絵空言でした。
現在、いよいよ政府は中央機能を東京から地方へ移転させる覚悟を決めたようです。 東京への一極集中を排除し、政治・経済・文化の中央集権体制を改革していく。
「国会等の移転に関する法律」に基づいて、首都移転にかんする調査会もでき、移転の規模、候補地、時期、手順などの具体的なイメージが語られはじめています。 では、現段階での新首都像とはどういうものなのか。
簡単にいってしまえば、それは新しい「国会都市」を中心に、大きな森のなかにいくつかの小都市がクラスター(ブドウの房)状に存在し、それぞれの都市は道路や鉄道で緊密に結ぼれるといったもので、十キロ四方のかたまりをつくる。 たとえば建設省・運輸省・国土庁の市街地。
大蔵省・自治省・法務省の市街地。 国会議事堂のある市街地:::。

このほかにも、住宅団地や飲食店団地がつくられる。 新首都の人口は六十万人。
内訳は、政府の役人が十万人、家族が二十万人。 洗濯屋さん、酒屋さん、食物屋さんなど、サービス関連の人口が二十万人。
公団・銀行・大使館など、役所とかかわりの深い事務系の企業人が十万人。 このような都市を頭のなかでイメージしてみると、それに近いのがオーストラリアのキャンベラです。
実際に行ったことはないのですが、広大な敷地のなかに一戸建て住宅が散在し、政府の建物も高層ではなく、五、六階建ての横長中層オフィスビルになっている。 緑も多く、写真で見る限りではまるでユートピアのようですオーストラリア外務省の役人時代、キャンベラに住んでいたGレゴリー・クラークさんにこんな感想を聞いたことがあります。
あまりのつまらなさと単調さにあきあきして、わたしは日本に逃げ出してきたのですよ。 だからいま、J智大の先生(平成七年からT摩大学学長)をしているのです」新しい街をつくるのは、まして首都ともなれば、さまざまな困難をともなう。
それが成熟した都市になるためには、途方もない時間とお金と労力が必要です。 多摩ニュータウンですら、この三十年間でせいぜい二十万人くらいにしかなっていないのですから、それと比べても事業の困難さはおわかりいただけると思います。
では二十一世紀の日本にふさわしい首都には、実際になにが必要なのでしょうか。 森のなかに市街地がクラスター状に埋め込まれるとすれば、人口密度は低くなり、人が移動するための基本的な交通機関は自動車になるでしょう。
そこで自動車道路の建設がもっとも重要な課題になる。 他の都市との連絡のためには、鉄道や空港の建設も不可避です。
また小学校から大学まで、教育機関の充実にも力をそそがねばなりません。 いまの日本の状況だと、子どもの教育のために父親だけ単身赴任、なんてことにもなりかねない。
家族全員が満足できる環境を整える必要があります。 候補地の地理的条件についてはどうでしょうか。

もちろん地震にもびくともしない頑丈な地盤のところがいいでしょう。 台風が来ても浸水・崖崩れの心配がないところ。
雪に埋もれることもなく、できれば曇り空が多いところも避けたい。 さらにつげ加えるならば、「公」が所有する県有林や国有林の多いところ。
森でも畑でも、民間の土地が大半を占めるようなところでは用地買収が困難です。 成田のような無理を二度と繰り返してはなりません。
それでは、そうした条件に適合する場所は日本のどこにあるか。 名古屋を新しい首都にしようそう多くはありません。
すでに新首都の候補地として取り沙汰されているのは、北からいって、まず宮城県仙台市の北側のあたり。 それから福島県阿武隈の丘陵地。
栃木県の那須。 長野県なら伊那・駒ケ根・飯田の天竜川沿いの渓谷の両側を大きい山ではさまれたスイスの谷のようなところに、新首都をつくろうというわけです。

ほか私の頭のなかにある候補地としては、岐阜県から愛知県にかけての、多治見・瀬戸・由郎の丘陵地。 ちなみに瀬戸市の南東部では、ニ〇〇五年に開催予定の万博(21世紀名古屋万国博覧会)をやろうとしています。
それから、豊橋・浜名湖近くの三ヶ日の東名高速道路沿い。 三重県と滋賀県の問、亀山から甲賀にかけた鈴鹿山系の東斜面と、西の甲賀の盆地の水口。
信楽高原鉄道が走っているあたりです。 関西には意外に適地がなく、岡山の吉備高原まで飛びます。
兵庫県の明石市の後ろの三木。 こんなところが私の頭のなかに浮びました。
ところが、ある日、ある不動産会社の会長に「首都移転が一番しやすいのは埋立地ですよ」といわれた。 彼がいうには、用地取得時、農民よりも漁民のほうがネゴシエーシヨンしやすいのだそうです。
農地は寝かしておいても腐りませんから、仮に土地買収に反対であれば、農民のほうが徹底的にやる。 だが、漁民の場合、土地はたいした問題ではない。
海にあるのは漁業権という権利です。 権利を買い取ることのほうが、企業からすれば、自分たちのビジネス感覚に合うということになる。
土地をつくるという点でも、用地を少しずつ買収していくよりも早くできます。 そうすれば首都移転も早い。

当座は殺風景でも木を生やせば森もできる。 車依存をやめ、新交通システムを入れてみんなが利用できるようにする。
住宅を密度高くつくることもできる。 本当に首都をつくるというのなら、たしかに埋立地の方がいいという考え方も成り立つのです。

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